儚い羊たちの祝宴 米澤穂信 感想

儚い羊たちの祝宴
米澤穂信

どのお話も面白かったです!

以下、ネタバレも含んでおります!

どのお話もちょっとダークな雰囲気でしたよね?
日常の謎や、探偵が謎を解き明かしていくお話も好きですが、こういう暗めのお話もいいですよね!
そして、どのお話もどんでん返し的な展開ですごく楽しめました!

■身内に不幸がありまして
眠っている間に起こることが怖い。
だから、外泊を避けるために人を殺すとは・・・
さらには大切な使用人まで・・・
そこまで外泊したくなかったら断ればよかったんじゃ・・・
でも、断る選択肢がなく、理由のためにわざわざ人を殺すってことは吹子さんの価値観は「義理だてて外泊に出席>人殺し」ってことになりますよね・・・?
殺しもいとわない人物ですから、吹子さんの将来が怖い・・・

■北の館の罪人
早太郎さんは気付いていた!
あまりさんが紫色の手袋をしていたというのはそういうことですよね・・・?
そのうち赤くなる。
「殺人者は赤い手をしている。」
よくできている・・・
そして、他にも証拠を残していた!
本館に飾られた兄弟の絵に髪の毛が混ざっていたということでしたが、わざとなんじゃ・・・
詠子さんはあまりさんの絵の意味に気付けるでしょうか?
気付かなかった場合、詠子さんはあまりさんの絵を見ていますから、口封じに殺されてしまうかもしれない・・・

■山荘秘聞
「口を閉じてもらう」とは殺しかと思っておりましたが、お金での買収だったのですねw
変な肉もってっきり越智さんの肉かと・・・
全てミスリードでしたか!
お客様に来てもらうためにあそこまで嘘をついてもてなすとは・・・
ちょっとした狂気?

■玉野五十鈴の誉れ
五十鈴さんは分からずにやったのでしょうか?
それともわざと?
純香さんのお父さんの指示ではありましたが、純香さんと仲良くしているうちに情が湧いた?
んー、そもそも本当に純香さんのお父さんから指示があったから仲良くしていたのでしょうか?
お付きを外される際に言ったことは純香さんとの仲を疑われないために、あえて冷たく突き放した可能性?
料理ができないとはいえ、元々おばあ様に認められていた五十鈴さんがゴミを焼くだけの仕事というのも不自然なような・・・
毒酒がなくなっていたのも気になる。
毒酒が用意された時、わざわざ五十鈴さんが持ってきてしかも説明してくれた。
これって他の人が持ってくるところを五十鈴さんが変わって、純香さんの命を救ってくれたんじゃ?
そして、毒酒はおばあ様に使ったと・・・
という風に考えるのは、私が純香さんと五十鈴さんに感情移入しているからでしょうか?

■儚い羊たちの祝宴
アミルスタン羊・・・
ひえ・・・
初めてみる言葉なので調べてみたら人肉と・・・
鞠絵さんのお父さんは知っていたのかな・・・
いや、知らなそう・・・
宴の場での料理をお父さんが断っておいてよかった・・・
じゃなかったら、人から唇だけはぎ取る様子を見せられるってことですよね・・・?
えげつない・・・

バベルの会はどのお話にも出てきて黒幕的な存在かと思っておりましたが、そういう訳じゃありませんでしたね!
ただ夏さんに、というよりそう差し向けた鞠絵さんの手によって全滅させられただけ?
そして、その後やって来た人によってバベルの会が復活させられると。
あれ、なんで手記が残してあったのでしょう?
罪の告白みたいものですよね?
手記を読んでいる人によると、文字が途中から整えてあったりして読む人を意識しているとのことでしたが、鞠絵さんはだれかに手記を読んでほしかった?
良心の呵責に耐えかねたのでしょうか?
それなら手記を残すという方法じゃなくて、警察とかに言えばよかったんじゃ?
いや、証拠がないのかな・・・
それでもバベルの会の面々が合宿中にいなくなったことは世間が、少なくともバベルの会の家族たちは知っているはず。
手記が表に出れば警察だけじゃなくて、マスコミまで動いて話題になりそう。
そうなれば、世間を味方につけて捜査が進む?
うーん、それも結局マスコミに直接手記を送ればいいだけなんじゃ?
鞠絵さん的に事がばれてもばれなくてもどっちでもよかったのかな?
アミルスタン羊の話を出して、狩場は蓼沼だと教えてあげた鞠絵さんはきっと復讐がしたかったんですよね?
復讐をやり遂げたということを誰かに知ってほしかったとか?
それで、ばれても構わないと思った?
それか復讐をやり遂げて投げやりになっていた説?
うーん、わからないなあ・・・

はっ!
この間読んだ米澤穂信さんの「インシテミル」って淫してみるって意味だったのですね!
千街晶之さんの解説を読んでやっと気づけました!
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いん・する【淫する/×婬する】
[動サ変][文]いん・す[サ変]
1 (多く「…に淫する」の形で)度が過ぎる。度を過ごして熱中する。ふける。「酒色に―・する」「読書に―・する」
2 みだらなことをする。
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コトバンクより!
「インシテミル」の作中にみだらな行為はありませんでしたから、1の意味ですよね?
度が過ぎる。度を過ごして熱中する。ふける。
ふむ・・・
行き過ぎた熱中ということでしょうか?
でも、何に・・・?
んー、クローズドサークルだったり、インディアン人形が用意されていたり、凶器のメッセージがミステリーマニア向けだったりしていましたから、ミステリーに淫してみたのでしょうか?

米澤さんの作品は面白い作品ばかりです!

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